【漫画】狂四郎2030[徳弘正也]【感想】

マンガの感想です。
「狂四郎2030」は「ジャングルの王者ターちゃん」で有名な徳弘正也氏の作品です。
 内容は、第三次世界大戦を終えた2030年の完全な管理社会と化した日本を舞台にした作品です。
 ターちゃんが好きだったのでこの作品も気にはなっていました。最近いつもの例のあの画像を見かけた時に「よし、買おう」と思いkindleにてポチリました。

            引用 「狂四郎2030」 第5巻より
 よくネットでネタにされているシーンですが、非常に重いエピソードです。ちなみに一番下のコマ左の子は女の子に見えますが男です。そして右側が主人公の廻狂四郎です。真ん中は回想のみのモブです。ちなみにこのシーンは少年時代の回想シーンです。

あらすじ

 下品なギャグシーンのおかげでちょいちょい笑いながら読めますが非常に重い話です。

 物語の始まりは戦闘機で主人公である「廻狂四郎」がいつものようにパトロールしているところから始まります。
 ふと彼が下を見ると、全裸のセクシーな女性が頭のおかしそうな老人に追いかけられている姿が目に入ります。もっとも、全裸の女性はビタミン不足+たまっていた主人公の妄想が生み出した幻覚で本当はただの犬です。
 地上に降りて美女を助けたつもりがよく見たら犬で落胆する主人公。しかしなんということでしょう、この犬なんと喋ります。
 なぜ喋るのかは速攻明かされるのでそのまま書いちゃいますが、とある科学者が自分を長生きさせるために自分の脳のクローンを作り、試験的に犬に移植し教育した結果喋るようになりました。
 犬を追いかけていたのはその科学者であり、犬の脳を取り出し自分に移植しようとしていたとのこと。しかし、体力が尽き老人はこの場で死亡してしまいます。
 そして、医学的知識を持つ犬は狂四郎にEDの治療を頼まれ一緒に暮らすことになります。
 狂四郎は犬にバベンスキーと名付けます。(犬が倒れた博士の状態を確認するためにバベンスキー反応を試したことから命名)
 これが物語の始まりです。
 そしてバベンスキーが狂四郎の家に入ると機械を彼女と紹介されます。
 その機械はバーチャマシン、いわゆるVR(ヴァーチャルリアリティ)装置でした。ちょっとアダルトな内容になるのですが、この世界では男女の性交渉が基本的に制限されており実質禁止状態です。そして一定以上の職務をこなしている真面目な市民にはフルダイブ型のバーチャルSEXマシンが与えられています。主人公もそれを愛用しています。VRは今の感覚で行くとありふれた設定に見えますが、この作品って連載開始1997年なんです。
 あのVR系作品の定番SAOこと「ソードアート・オンライン」は今や誰もが知っているレベルの作品になっています。そのSAOが世に出たのは2002年であり、それよりも5年も早くVR設定を取り入れて連載開始していたのです。マトリックスすら1999年公開なのでいくらなんでも時代を先取りしすぎじゃないですかね・・・
 で、狂四郎はVRの中にいる「志乃」という人物に本気で恋をしています。もちろん彼自身、それが仮想現実であると理解しています。それでも彼にとって一番大切な「恋人」でした。
 その姿に最初はバベンスキーは呆れていましたが、仮想現実の存在であるはずの「志乃」にはどう見ても個人の意思がある、と感じ調査を始めます。
 結果「志乃」は実在していました。北海道にある中央政府電子管理センターで働く「ユリカ」という天才プログラマーでした。
 そして、最初は彼女に実際に会う、という選択肢を選ばなかった狂四郎ですが、日本の現実を目の当たりにしてしまい、旅立つ決意をします。
 そうして、様々な敵と戦い、日本の現状を徐々に知りつつ、男女の繋がりを絶たれたこの世の中で最愛の人と一緒になる為に、狂四郎は北海道を目指すのです。

 感想

 物語としてはとても面白かったです。設定が独特で、時にギャグシーンで濁しながらも隠し切れない重い現実。


 そして、狂四郎と志乃、互いに会いたいと想いながらも、自分は相手にふさわしくないのではないかと悩みます。
 狂四郎は数多の命を奪い血に濡れた自分では彼女を幸せにできないのではと何度も考えます。
 一方志乃ことユリカは上層部の特権階級の人間たちに数え切れないほど性欲のはけ口として利用され続けた汚れた自分の体で狂四郎を受け入れていいのかと悩みながらも、どんどん精神的に強くなっていき、狂四郎を信じ待ち続けます。
 お互いに違った形での心や体の汚れの描写は引き込まれるものがあります。
 

 設定も細かく、徐々に2030年の日本の現実が明かされていく展開は素晴らしいです。
 

 バトル描写はかなりグロいです。が、狂四郎が恐ろしいほど強く、兵士たち相手に無双していく様はすごいの一言です。ターちゃんでもそうでしたが1体多数の戦闘で強い奴のやばさを表現するのが上手いなぁ、と感じます。
 ちなみに狂四郎もターちゃん同様銃弾を見てから回避する描写があり(フニフニ避けはできませんがw)、実際に二人が戦ったらどっちが強いのかな?とか考えちゃいます。
 個人的には連載開始当時のターちゃんよりは強そうだけど最終的には圧倒的にターちゃんの方が強いかな?といった印象です。ターちゃんはジャンプ特有のインフレと動物パワーがありますからね! ただ、狂四郎は元軍人であり、飛行機の操縦や銃火器の扱い、剣術と技能が非常に多く、ルール無用の殺し合いだと狂四郎が勝ちそうな気もします。頭の良さは、二人とも知識は足りない部分が多いけど地頭はかなりいい、って意味で似たようなタイプですが、狂四郎の方がいろいろと頭の回転が速いように感じます。
 しかし、一方で狂四郎以外のキャラの魅力がイマイチなところがあります。旅の相棒バベンスキーはともかく、ヒロインはなんかパンチが弱く、その他のキャラは頭のネジがおかしいだけでキャラの存在感がなんだか薄いんですよね。狂った世界の演出としてはいいのですが・・・徳弘氏の代表作である「ジャングルの王者ターちゃん」が魅力的なキャラばっかりだったので比較して余計にそう感じるのかもしれません。っていうかターちゃん、ジェーンさん、エテ吉、ゴリさん、アナベベ、ペドロ、梁師範っていう黄金メンバーと比べるのが酷なのかな……でも敵やエピソード限定の脇役の存在感もやっぱりターちゃんの方がはるかに上と感じますね。
 ちなみにジェーンさんはこっそりゲスト出演しています。体力をつけようとランニングマシンでトレーニングしているヒロインに話しかけてきます。2ページくらいの出演でしたが見た瞬間おお、となりましたw
 ターちゃんがときどき岩山登ってとってきてる花の髪飾りをつけていたので間違いなくジェーンさんですw
 ゲストで本来いない場所に登場するってことはターちゃんの世界とは別の世界ともいえるので、あのハッピーエンドが無かったことにならないのはよかったと言えます。

 ちなみに本作品における第三次世界大戦の勃発は2019年です。ちょうど今年ですね。現時点では兆候はありませんがIT的な面が原因でアメリカと中国の仲はあまりよろしくありません。そして、この作品ではアメリカと中国は核を撃ち合い互いに壊滅しています。形は違えどアメリカと中国の仲の悪さを20年以上昔に描写しているのはすごいですね。アメリカの喧嘩相手としては普通はロシアをイメージしますからね。
 またVR装置についても股間への刺激は物理的という妙なリアル感に感心します。よくVRゴーグルつけて電動オ〇ホ動かしてるような情けない画像とかネタにされてますが、まさにそんな状態です。1997年の時点でそんな姿が予測されて漫画になっていたなんて……恐ろしい話ですw

 以上が狂四郎2030の感想です。いかがでしたでしょうか?
 正直なところ、18歳未満には読ませられない内容です。エロ的な意味でもグロ的な意味でもR18な内容です。ですが、読めば色々なことが伝わってくる作品だと思います。
  

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